学校での英語教育は、よく話題にあがるひとつです。
かなり以前の話になりますが、私が高校でお世話になった英語の先生は英語が話せませんでした。
ALTとの会話もままならず、日本人特有、外国人を前にヘラヘラと笑っているだけだったのを今でもはっきりと覚えています。
日本の英語教師は、英語力が圧倒的に足りていない?
中学校・高等学校教員(英語)の免許資格レベル
私は現在某大学の通信教育部にて、教育学英語学科を専攻しています。
実際に勉強していく中で思うことは、果たして大学を卒業するだけで、英語を教えられるほどの英語力を身につけられるのだろうかということ。
もし私が、今までの海外においての語学留学、仕事、生活、旅行などの体験が一切ない状態で、同じ学部を選択し、英語教師として働きたいと考えたとした場合、果たして中高の学生に英語を自信を持って教えられるほどの英語力が大学の勉強だけで充分鍛えられたかどうかという疑問が残ります。
ドイツにおける英語教員の英語レベル
先日、ドイツで現地中学校に通う息子の英語の試験を見直していました。
新聞記事を読み、その内容を理解できているかを問う問題。
正しいものにチェックを入れる問題もありましたが、メインは記事を見て、自分が感じたこと、思ったことなどを、そのユニットで学習している指定された文法を使って書いていくことでした。
A4用紙にぎっしりと書かれた息子の解答に対して、採点後は、先生からこと細かに間違いを訂正されていました。
その上、単に間違いを正すだけではなく、より良いいい回し、表現などが丁寧に記入されていたんです。
解答用紙を見ながら、「同じことを日本の英語教師はできるのだろうか」と考えていました。
ドイツでの英語教師は、英語圏の大学を卒業されている方が多いように感じます。
先ほどの各生徒ひとりひとりに対しての、細部にわたる修正には、確固たる英語力が必要です。
逆にいうと、日本の英語教師は、英語の学びの深さが圧倒的に足りていないのではないでしょうか?
日本においての英語教員の英語レベル
下記は平成30年度「英語教育実施状況調査」の結果です。
CEFR B2レベル相当以上のスコア等を取得しているものは全体の36.2%。平成29年度より上昇しているとはいえ、まだまだ少ない数値だと感じませんか?
(出典:文部科学省)
決して「英語が流暢に話せる=英語を教えるのが上手」だとは言えません。しかしながら、丸やバツだけで採点できない、言語ならではのグレー部分を詳細に説明し、子どもたちの英語力に磨きをかけることができるかどうかは、やはりある程度の英語力が必要になってくるはずです。
目標の50%(中学校教師)、75%(高校教師)を達成するためには、国、学校、個人、それぞれが目的意識をしっかりと持って、英語力アップを目指していかなければならないように思います。
CEFRについては、こちらもご参照下さい。↓
塾の英語講師の英語レベル
こちらは、Twisted HelixさんのYouTube動画です。
日本のテレビが面白おかしく取り上げて、視聴率を上げたいのもわかります。
塾の講師は受験英語を中心に授業するので、英会話ができる必要はないという方もいるでしょう。
しかし、これほどグローバル化が進み、日本の英語力が問題になっている中、この動画を観て一緒に笑っていては、日本国内において英語力を上げることは一向にできないようにも感じます。
留学経験がない先生が多い
上記と同じく、文部科学省の平成28年度「英語教育実施状況調査」の結果になります。
(出典:文部科学省)
海外での留学経験なしの先生は全体の48.7%、1年以上海外で留学したことがある先生は全体のたったの10.5%。
あまりにも少ない数字だと感じるのは私だけでしょうか?
もちろん留学したことがなくても、流暢な英語を話す先生もいらっしゃいます。
しかしながら、実際に海外で生活した経験があるかないかは、「なぜ英語を学ぶといいのか?」ということを、生徒たちに伝えるためにも、大きく影響するのではないかと感じます。
高い英語力のみならず、先生が外国での実体験を語りながら、英語を学ぶことで広がる世界、異国の文化を知る面白さ、外国人とコミュニケーションを取ることの楽しさなども含めて、子どもたちに英語を教えていけるようになれば、日本の英語教育においても、子どもたちの英語に対する興味も増し、英語力アップのカギにもなるのではないかと考えています。
思いきって短期間でも留学してみる
国際化もどんどん進み、日本に住んでいても外国人の姿を見かけることが多くなってきた昨今。
英語教師として、この先も働いていくというのであれば、思いきって一度留学してみるというのもひとつの選択肢ではないでしょうか。
忙しい業務に追われ、留学する余裕などないと言うのであれば、日本で学習するという方法もあります。
しかし、少しでも『行ってみたい!』という気持ちが心の中に存在するのなら、勇気をだして一歩踏み出し、留学してみるといいでしょう。
1週間でも、1ヶ月でも、自分のスケジュールや予算に合わせて、まず計画してみる。
ゴールを設定することで、得られる情報も多くなりますし、道はどんどん開けていくでしょう。
そしてなにより、頭で考えているよりも、その経験が英語教師として仕事を続けていくうえで、貴重な財産となるはずです。
まとめ
「英語を話せるとカッコいい」というようなマインドではなく、なぜ英語を学ぶと良いのか、英語を話すことでどのようないいことがあるのを、口先だけではなく、経験も含めて生徒に伝えられるような先生、英語を科目のひとつとしてだけ習得するのではなく、言語としてしっかりと身につけている先生、そんな先生たちが増えていくことで、日本の学校教育の英語レベルは確実に上がっていくのではないでしょうか。
A Good Teacher Never Stops Learning.
海外に留学するにしても、日本で英語学習をするにしても、教師も学び続けていってもらいたいと願います。